【船場の銘店 FILE Vol.7】長年愛され続ける「うな茂」のうな茂定食
2022/07/15
時を超えて愛される銘店を紹介する「船場の銘店 FILE」
商売の町ならではの人情味あふれる話がそこかしこに。
Vol.8
うな茂
11:00~22:00、土曜~21:00(LO各30分前)
気軽に上質なうなぎを食べてほしい
技と気持ちが詰まったうなぎ料理
うな丼、うざく、う巻き、肝吸い、漬物がセットのうな茂定食¥1,970。
¥2,000を切るとは思えない豪華な内容で、パリッと香ばしいうなぎは、脂や旨味が中に凝縮されている
手間ひまかけて焼く関西風 変わらない製法と素材
「創業当初は800円でうな茂定食を提供していました。今はうなぎの仕入れ値が3倍以上になってしまいましたが、お客さんに安く食べていただきたくて、提供価格は少しでも抑える努力を続けています」と店長の石井さん。 30年以上、うなぎの価格は変われど、蒸さずに焼く関西風の地焼きで仕上げる技術、さっぱりと仕上げた上品なタレ、そして旨いうなぎを気軽に食べてほしいという思いは変わらない。
玉造にあるフグ料理店「ふぐ茂」のオーナーが、“夏場にもおいしいものを食べてほしい”と1988(昭和63)年にうなぎ専門店をオープンしたのが始まり。大きさと鮮度を厳選したうなぎを毎朝さばき、注文ごとに焼き上げる身は、香ばしさと中の柔らかさが特徴だ。創業以来、継ぎ足されているタレは、軽く食べられるようにサラサラとしたさっぱり風味。石井さんは「地焼きは何度も裏返すため、手間と時間がかかりますが、『何回食べて も飽きへんわ。また来るね 』とお客さんに言われると、やめられませんね」と笑顔で話してくれた。
家族で食べに来てくれる愛されるうなぎ屋に
ひと昔前は、周辺の会社が稼働しない土曜は閑散としていたそうだが、最近では土曜が一週間でもっとも忙しくなることも多くなった。船場界隈で働いている方が、家族を連れてきてくれるからと石井さん。「家族そろったらうな茂のうなぎを食べたい、なんて言ってくれるんです。コロナ禍で家族の結び付きが強くなったのも一因ですかね」 夜は定食をオーダーすると、うざく、う巻きとお酒のアテを先に出し、食事の進み方を見てうな丼を出す。そんなさりげない気配りも愛され続ける理由だ。石井さんは「30年以上この店で働いていますが、オープン時から通い続けてくれる常連さんも。感謝しかありませんが、その分、手も抜けません(笑)」うなぎの蒲焼きはもちろん、う巻きもつねに焼きたてにこだわるのも創業から揺るがない。さまざまなものが値上げされる時代。うなぎもその潮流に巻き込まれ、 値上げを余儀なくされるかもしれない。しかし、家族で気軽にうなぎを 食べに来られる、願わくばそんな銘であり続けてほしい。
1匹の半分強がのる鰻丼 梅¥1,660。 竹¥2,560、松¥3,600もあり
卵を2個使い、ダシをたっぷり含ませたう巻きも名物の一つ。ふわふわ卵の中には惜しげもなくうなぎが入っている
うなぎは焼き込むほど旨味が増すが、焼きすぎると炭化して焦げたような味が立ち、身も硬くなってしまう。炭化する手前の一番おいしい状態を見極め、極限までうなぎに火を入れている。「うな茂」自慢の職人の技術を楽しんで
創業当時から変わらない店内。約20席の座敷のほか、テーブル席やカウンター席もあり、どんなシーンでも利用可能
2008年ごろに、現住所の目の前から移転。「移転後はなぜか女性のお客さんが増えました。入りやすい雰囲気になったからでしょうかね」と石井さん
【住所】大阪市中央区博労町2-3-11
【TEL】06-6262-6464
【時間】11:00〜22:00、土曜〜21:00(LO各30分前)
【休み】日曜、祝日
【席数】56席
【電子マネー】PayPay
【その他おすすめメニュー】うなぎ定食¥3,210、蒲焼定食¥4,750など