【船場の銘店 FILE Vol.5】文豪も愛したインデアンカレー「せんば自由軒 本店」
2021/07/15
船場の銘店 FILE
Vol.5
せんば自由軒 本店
Lunch time 11:00〜15:00(LO14:30)
一世紀変わらないレシピとビジュアル 文豪も愛したインデアンカレー
ご飯とカレールウをフライパンで炙り混ぜ合わせた名物インデアンカレー¥858。
コクがあり、甘さのあとから辛さが追いかけてくる独特の味わいだ
脈々と受け継がれる秘伝のダシが味の決め手に
大阪の鬼才作家・織田作之助の「夫婦善哉」でも紹介された「自由軒」のインデアンカレー。1910(明治 )年に大阪初の洋食店(当時は西洋御料理店と呼ばれた)として難波で創業。ご飯とカレールウを混ぜ合わせて盛り付け、真ん中に生卵を落とし、ウスターソースをかけて味わう食べ方は、100年以上経った今でも変わらない。「せんば自由軒本店」は、1970(昭和 )年に創業者の吉田四一の五男・憲治によって「自由軒」から独立。以来、船場センタービルにて変わらない姿で営業を続けている。「インデアンカレーは代々と受け継がれる秘伝のダシをベースに作っています。生卵にはカレーの味をマイルドにするだけでなく、カレーの風味を膨らませる効果もあるんですよ」と店長の丸野豪史さん。高価な生玉子と貴重なウスターソースを使うことから、明治の人々に「ハイカラ」と称されたインデアンカレーは、現在では大阪を代表するカレーになった。
歴史に甘んじることなく 創意工夫を続けていく
「『せんば自由軒本店』のオープン当初から通ってくれている常連さんのなかには、コロナ禍で夜の営業ができなくなって初めてインデアンカレーを食べたという人もいます」と、丸野さんは笑う。というのも、夜は鶏皮唐揚げやポテトサラダなどをアテに、豊富なお酒で一杯飲める店に変身するため、夜だけの常連も多かったからだ。現在昼はお酒の提供は行っていないが、創業当時は1日を通してお酒とアテメニューを提供していたのも理由の一つ。「二代目がインデアンカレーとカツレツやシーフードとのコンビを考案したり、昨年からはランチ時の週替りカレー(¥792)を登場させたりと、歴史を守り続けるだけでなく、お客さまに満足してもらえるメニューを日々考えています」とも。移りゆく時代のなか、どんなときも大阪人を元気にし続けた名物のインデアンカレー。新しい風が吹いた明治に生まれたメニューと令和らしい柔軟な発想でコロナ禍という逆風に負けずに歴史ある味を守り続けてほしい。
インデアンカレーと同様、明治 43年以来の伝統の製法で作られる名物ハイシライスを卵で巻き、エビフライとセットにしたハイシオムライス&シーフードコンビ¥1,078。女性や子供にも人気が高いメニューだ。
「卓上のウスターソースを入れ、よく混ぜ合わせて食べるのが通の食べ方ですよ」シェフの多田久志さん
メニューのサンプルが飾られるショーケースには、巨大インデアンカレーが
昭和45年のオープンからほとんど変わらない店内。
コの字形のカウンターを中心に、テーブル席もあり、居心地のいい雰囲気
【住所】大阪市中央区船場中央 3-3-9 船場センタービル9号館 B2
【TEL】 06-6251-3428
【時間】 11:00〜15:00 (LO14:30)、17:00〜21:30(LO20:45)
【休み】土曜の夜、日曜、祝日
【席数】32席
【電子マネー】PayPay、PiTaPa、iDなど
【その他ランチメニュー】カレーオムライス¥880など