【船場の銘店FILE Vol.1】南船場の小さな店で生まれた元祖、きつねうどん「うさみ亭マツバヤ」
2020/07/04
うさみ亭マツバヤ
Lunch time 11:00~19:00、金・土曜~19:30※当分は~18:00
船場の銘店FILE
Vol.1
いなりずしをヒントに“こんこんうどん”を考案
油揚げを甘辛く煮込み、うどんの上に乗せた“きつねうどん”。
子供からお年寄りまで日本全国で愛されている素朴な一杯は、
1893(明治26)年創業、120年を超える歴史を持つ「うさみ亭マツバヤ」で生まれた。
「初代がこの場所でうどん店を始めた際、奉公先の寿司店のいなりずしをヒントに、
うどんとは別に甘く味付けした油揚げを添えて出していたようです」と、
三代目店主・宇佐美芳宏さんは話す。
それがある時、お客さんが添えられていた油揚げをうどんに乗せて食べ、
気に入ったことがきっかけで商品化されたそうだ。
当時は演技のいいキツネにあやかって、こんこんうどんと読んでいたそうだが、
いつの間にかきつねうどんと名前が変わった。
芳宏さんは、「当時、商標などは考えていないから、全国的に名前が広がったんです。
でもおいしいものをたくさんの人に食べてもらえて幸せです。
ウチよりええもん出されたら困るけど(笑)」と、うれしそうに語ってくれた。
きつねうどん¥600。京都・錦市場から届く油揚げは、一番ダシと二番ダシを合わせて炊くことでまったりとした味わいに
初代、二代目と受け継がれ守られている味と製法
きつねうどんと双璧を成す看板メニューとなっているのが“おじやうどん”。
特注の四角い南部鉄器で半膳のご飯と半玉のうどんを、具材と一緒に煮込んだもので、「物がない戦時中、麺もご飯も半分ですむようにと二代目が考案したのがあおじやうどんです」と、急場しのぎで生まれたメニューが
冬場はもちろん夏場でも汗だくになりながら食べられる大定番になっている。
利尻産の昆布や屋久島の枯節など数種を合わせたダシと、
手ごねで仕上げる大阪人好みの柔らかめの麺は創業当時のまま。
「島根県の醸造元が特別に作ってくれている醤油など、
できる限り昔の味を守りたいと思っています。
新型コロナウイルスの影響で私が店を継いで以來、
これほど南船場から人の姿が消えたのは初めて。
以前は外国人もたくさん来てもらっていましたが、コロナ後はまったく…。
しかし、なんとか営業を続けられているのも皆さんのおかげです。
地域の方に感謝しながら、うどんを作り続けたいと思います」
ご飯とうどんが半分ずつ入ったおじやうどん¥820。具材は鶏肉やアナゴ、どん こシイタケ、刻み揚げ、かまぼこなどが豪華に盛られている。卵でまろやかに、 甘酢ショウガでさっぱりなど、食べる部分で味わいが違うのもユニーク
1階、2階合わせて約50席。デュラムセモリナ粉を使った細麺のまつばうどんからざるそば、丼ものまで幅広い品ぞろえも魅力で、何度来ても飽きない
約120年、変わらぬ場所で町を見守り続ける
大阪市中央区南船場3-8-1
TEL 06-6251-3339
時間/11:00~19:00、金・土曜~19:30※当分は~18:00
休み/日曜、祝日
席/50席
電子マネー/不可
その他ランチ/まつばうどん¥600、ざるそば ¥660 ~など