★愛され続ける浪速のしゅうまい「一芳亭船場店」
2022/01/15
船場の銘店FILE
時を超えて愛される銘店を紹介する「船場の銘店 FILE」
商売の町ならではの人情味あふれる話がそこかしこに。
Vol.7
一芳亭 船場店
Linch time11:00〜15:00
ほんのり黄色い薄焼き卵に包まれた
浪速の“しゅうまい”をほおばる
しゅうまい5個入り¥330〜。
しゅうまい10個にご飯や鶏ガラスープが付く定食は¥800。 淡路島産のタマネギをたっぷりと使用した甘味と優しい食感で、多くのファンに愛され続けている
戦前から今まで時を重ねた 「黄色いしゅうまい」
「荒削りなようでいてデリケートな味。家庭の惣菜のように見えて専門家のみに許された品格が到底、真似のできるものではないことを感じさせる…」とは、小説家・池波正太郎が残した言葉。食通としても有名だった文豪が絶賛したのが、1933(昭和8)年に難波創業した「一芳亭」のシュウマイ。手焼きの薄焼き卵で包まれた姿から「黄色いしゅうまい」と呼ばれ親しまれている大阪名物だ。
「難波の本店、船場店、百貨店におろす聞を合わせて、1日1万個は売れています」と、船場店で27年働く店長の細井良彦さん。創業当時、小麦粉が手に入らず薄焼き卵を代用したのが始まりで、今でもその製法を守り続けている。ふんわり柔らかくジューシーに仕上げられたシュウマイは、決してパンチのある味ではないのに、食べ出すと優しい甘味と食感の虜になり箸が止まらない。細井さんは「国産の良質な素材にこだわり、親子2、3代にわたって愛される味を守り続けています」と話してくれた。
人が人を連れてくる創創業から変わらない景色
船場店のオープンは35年以上前の1984(昭和59)年。メニューや価格は当時からほぼ変わらず、一日中楽しめる定食や一品とお酒を楽しむ人々でつねに店内は活気に満ちているが、コロナの影響で夜の常連客は半分ほどに減ってしまったという。「それでも年配の常連さんが家族や会社関係の方を連れて来て、しゅうまいと唐揚げ、春巻きを食べさせてくれまして。気に入ってくれた方がまた別の方を連れて来てくれます」と細井さん。緊急事態中も、「お昼を食べられない方がおったらかわいそうでしょ?」とランチ営業を続け、1日150人ほどが来店したそうだ。もともとテイクアウトは行っていたが、2021年にそのまま電子レンジで温められる折箱を使用するように。華風盛り合わせオードブル¥4100〜なども考案し、夜でもテイクアウト待ちの行列ができるほど人気を博している。 どうにかしておいしいものをという思いは、 本店の創業から時代が変わろうとも揺るがない。
しゅうまいは小ぶりなひと口サイズも特徴。「蒸したてを食べてほしい」と、蒸し器は一日中稼働し続ける
ランチタイム限定の春巻定食¥900。
ニンジンやタケノコなど食感のいい具材をぎっしり詰め込み、しゅうまいと同様に、薄焼き卵で包んで揚げた人気の逸品。 鶏ガラスープもこれだけをオーダーするがいるほど美味
「華風料理」と名付けた、日本人に合うようアレンジした中華が楽しめる
【住所】大阪市中央区船場中央1-4 船場センタービル2号館B2
【TEL】06-6263-1146
【時間】11:00~15:00、17:00~21:00(LO20:30) ※土曜はランチのみ営業
【休み】日曜、祝日、土曜の夜
【席数】44席
【電子マネー】不可
【その他おすすめメニュー】えび天定食¥950、八宝菜定食¥1,050など